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無線とインターネットの組合せによるケーブルフリーの世界
■Black-eye.com news -----2002.8.21
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財団法人インターネット協会(IAJ:http://www.iajapan.org/)から、IAJ発行の
季刊誌 IAjapanReviewVol2の原稿依頼がありました。テーマは、”増加する
無線LANアクセスポイントとワイヤレスネットワークの現状”ということで、先日
原稿を納めました。実際に、発行されるときには、少し編集されていると思います
が、このMLのみなさまには、生原稿をお送りいたします。ぜひ、ご一読いただき、
感想、コメントなどを頂ければと思います。

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タイトル:無線とインターネットの組合せによるケーブルフリーの世界
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インタラクテイブコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 芝本 正克


[ホットスポットの現状] 
今年に入って、日本でも首都圏を中心にホットスポットが、急速に増えています。
ホットスポットというのは、街の中に、ブロードバンド接続された無線LANのアクセ
スポイントを設置して、インターネットにアクセスするための環境を提供するサービ
ススポットのことをいいます。ホテルやターミナル駅、空港などの公共の場所や、
スターバックス、マクドナルドなど常設の場所、展示会場などのように仮設の場合
もあります。また、単独の企業やレストランなどが独自にホットスポットを提供する
ようなケースもあります。仕事や遊びなどの目的で、移動中、訪問先、滞在先など、
自宅や職場以外でインターネットにアクセスしたい人にとっては、とても便利なサー
ビスです。大小さまざまな会社がサービスを提供しており、無料のサービスと、有
料のサービスがあります。利用方法としては、会員制などで予め登録するタイプと、
利用場所での都度登録するタイプに分類されます。ブロードバンド回線の低価格が
追い風となり今後ますます、増加することは間違いありません。
ホットスポットは、始まったばかりの混沌とした状態で、まだビジネスモデルが確立
していません。より多くのユーザーを獲得し、サービスとして定着するためには、た
くさんの課題を一つ一つ解決していく必要があります。まず、ユーザーの便利を考
えると、サービスエリアのさらなる拡大が必要です。かなり増えてきたといっても、
いちいち、使えるかどうかを確認したり、行った先々で使えなければ意味がありま
せん。また、認証や課金の方法などの使い勝手の改善が必要です。趣味的な人を
除き、一般のビジネスマンや学生など、技術的なことに不案内の人が、ストレスなく
使えるようになる必要があります。まだまだ、現状は、うまく接続できなかったり、
近くから出ている別の電波を拾ってしまうなど、さまざまな問題が生じています。
さらには、異なるサービス提供者どうしの相互乗り入れの方法を検討し、実現する
ことが、ユービキタスなインターネット環境を目指す上では、克服すべき重要な課題
となっています。
 米国では、「Project Rainbow」というネーミングで、大手ITベンダーと移動体通
信事業者数社が、全米をホットスポットで覆い尽くすという合弁事業の立ち上げに関
して、すでに検討段階に入っています。  


[拡大する無線LAN]

 一方、無線LANの利用方法は、上述のホットスポット以外にもあります。最も一般
的な利用方法は、読んで字の如く、家庭や企業内でのLAN構築における無線LANの
利用です。無線LAN機器のマーケットとしては、この部分が最大で、このうち2005
年には、家庭向けが企業向けを追い抜き、最大のシェアになることが予想されていま
す。企業の情報担当者は、セキュリティーエリアとの切り分けなどの問題から、導入
を嫌がる場合が多いのですが、利用形態や規模によって、さまざまな工夫がされ始め
ており、組織全体の効率を考えると、早期導入のメリットは大きいと言えます。なん
と言っても、ケーブルフリーな環境を経験してしまうと、元には戻れないようですね。
 家庭内への導入も着々と進んでいるようです。ただ、意外と簡単な設定も、身近に
知識のある人がいない場合、かなり苦労しているのが現状のようです。初期設定で
つまずく人も多いのですが、その後のファームウェアのバージョンアップや、セキュ
リティー対策などとなると、一般家庭においては至難の業のようです。弊社の経営す
るICIインターネットスクールは、こういった方々の駆け込み寺になっています。ICI
では無線LANを用いてケーブルフリーな環境を提供するケーブルフリーサービスを
昨年12月1日より開始しております。ICI会員のケースでは、アクセスラインのブロー
ドバンド化の流行はもちろんなのですが、半数近くは、ブロードバンド化より先に、
家庭内をケーブルフリー(無線LAN)環境にしています。わずらわしい設定やセキ
ュリティーなどを気にせずに利用できるサービスを提供し始めたことにより、この形
態での利用者が急増しています。ユーザーは月々の料金を払えば、設定も、セキ
ュリティー対策もおまかせで、専門知識もいらずとにかく使うだけのサービスなの
です。今後、いろいろなネットワーク機器が登場する中で、必要なサービスと考えら
れます。


[無線の課題]

 弊社のオフィスは、港区白金台にありますが、無線LANを装着したパソコンを持っ
て、住宅街を歩いてみると、すでにかなりの数の無線LANが導入されていることが
分かります。オフィスの300m四方で、20件ほどの電波を容易にみつけることができま
した。多いところは、一つの場所から、3つの無線LANの電波が検出されます。こ
うなってくると、無線LANのチャンネルは、1〜14chまでありますが、周波数の競合の
問題も気にする必要が出てきます。一戸建ての家庭内だけでの利用であればそんな
に問題はないかもしれませんが、マンションや、アンテナを使い少し離れたところを
結ぶ利用方法が増えてきた場合、電波が干渉してしまいます。コンビニエンスストア
の自動ドアなども同じ周波数を使っているため、干渉することがあるようです。実際
、弊社から、300mほど離れたユーザー向けに無線LANによるアクセスサービスを提供
していますが、ある日突然つながらなくなり、調査したところ、そのユーザー宅付近
で、同じチャンネルの強い電波が検出されました。この場合、チャンネルの変更によ
り解決しましたが、競合が起こるたびに調査してチャンネルを変更するのも大変で
すので、チャンネル割当のルールを作る必要があるかもしれません。
このように、無指向性のアンテナを立てるだけで、半径300〜500mの範囲に、無線
アクセスのための電波を出すことは簡単にできます。企業がビジネスとして行う場
合と、個人が無償で行うような場合があり、米国では、このようなフリー無線LANの
草の根活動が活発のようです。しかし、これは、プロバイダー側から見ると迷惑な
話で、米国ではすでに、このような無線LANの利用方法に関して、取り締まりが始
まっています。無線LAN機器にアンテナを接続し、他人に「サービス相乗り」を許し
ている加入者に対しては、契約を解除するという警告を発しているのです。また、上
述のように意図的ではなく、自分が使う目的で無線LANを設定し、その電波が漏れ
ている範囲の人が勝手に使っているということも実際に起こっています。英国では、
ワイヤレスハッカーが接続可能ゾーンを見つけると、道路や壁に印をつけて、道しる
べにするという活動が始まっています。


[広がるケーブルフリーの世界]

 技術は、どんどん進み、2.4GHz帯を使うIEEE802.11bだけではなく、5GHz帯の
802.11aや、その他の方式の検討が進められています。このように、他の技術と同
様に無線LANに関する技術は、目まぐるしく進歩をするわけですが、ユーザーから
見た場合、使い勝手のよさと、コストがとても大事な要素です。そういったユーザー
メリットを実現し、ビジネスモデルを確立していくためには、無線LAN機器に関する
インターオペラビリティー(相互接続性)と、標準化がとても重要となります。無線
LANの相互接続試験を行う組織である、WECAが、日本とシンガポールにもラボを
設立し、この7月1日より業務を開始しました。従来は、米国カリフォルニアと英国
ロンドンでしかできなかった接続試験が、アジア地区でもできるようになり、より多
くの機器メーカーが相互接続試験を低コストでできるようになりました。相互接続性
が確認されると、認定のしるしとして、機器に“WiFi”のロゴマークがつけられ、ユ
ーザーは安心して使うことができます。
単純な無線LANアクセスポイントや、カードだけではなく、複合型のアクセスポイン
トや、無線機能の組み込み型のPC、携帯端末などの登場により、WECAに関連する
企業の数は増加の一方です。今後、IPv6の世界になり、普通の家電製品がネットワー
クにつながってくると、それぞれの家電製品に無線LANの機能が組み込まれていくこ
とになるでしょう。実際そうでもしないと、家中、ケーブルだらけになり、大変なこ
とになってしまいます。ケーブルフリーな環境のために、無線LANは、注目を浴びて
いるのです。

 今回は、無線の中でも、無線LAN用として免許なしで利用できる周波数帯の話
を致しました。他の周波数帯でもインターネットに応用することは可能です。周波数
によっては、すでに他の用途として使われていたり、ライセンスが必要なためコス
トがかかったりします。それぞれの周波数の特性にあわせてインターネットのため
のインフラとしての活用方法の検討は、さまざまな角度で進められています。中でも
衛星とインターネットの研究は、進んでおり、2005年には、超高速インターネット衛
星の打ち上げの計画もあります。ほんとうに、いつでも、どこでも、だれもが使える
インターネットを実現するために、無線とインターネットの組み合わせは、忘れては
いけない存在であり、周波数の割り当ての見直しや、有効活用方法の研究などが進め
ばますます、便利になり、ケーブルフリーの世界の拡大につながるのです。
以上

会社の概要
(2002年 7月現在)

社 名 インタラクティブコミュニケーションズ株式会社
設 立 1999年11月15日
資本金 10,000,000円 
代表者 代表取締役社長       芝本 正克
役 員      取締役 芝本 朋子
取締役 泉山 英孝
監査役 泉山 典子
社員数 9名
取引銀行 東京三菱銀行  目黒支店
所在地 (目黒本社)   〒153-0062 東京都目黒区三田
1-5-13-501
TEL:03-3445-3759  FAX:03-3445-3764
(白金台オフィス)  〒108-0071 東京都港区白金台
3-14-35-701
TEL:03-3445-3908  FAX:03-3445-3967
 
主な事業
● ケーブルフリー(無線)インターネット事業
・ケーブルフリーLAN構築
・ケーブルフリーインターネットアクセス事業(白金
台エリア)
● 第2種電気通信事業
● ビジネスストラテジー(戦略立案、市場調査、情報提供)
● ビジネスプロデュース(事業プロモーション)
● ネットワークコンサルティング(ケーブルフリーインターネット、
IPV6)
● ICIインターネットスクール
● 上記に関連する一切の事業及び業務

加盟団体
社団法人 日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会

主な取引先
ウィッシュネット株式会社 
宇宙開発事業団
慶應義塾大学SFC研究所
株式会社 スクールオンインターネット研究所
JSAT 株式会社
松下住宅産業株式会社
株式会社 ビットマーク
株式会社 婦人生活目黒学園 
アイコム株式会社 
     その他

■ 経歴

  1963年8月15日生まれ
  1982年3月:桐朋学園高等部卒業
  1986年3月:東北大学理学部物理学科卒業
  1986年4月:三菱化成工業株式会社(現三菱化学)入社
      繊維強化プラスチックの、研究開発、製造、マーケティング業務。
      (総合研究所→茅ヶ崎工場→本社)
  1990年7月:日商岩井株式会社 入社
      事業開発部として、ベンチャー企業育成事業
      (バーチャルリアリティ、立体音響事業、オフィス用品通販事業等)
  1995年4月:日本サテライトシステムズ株式会社 (現JSAT) 出向
      営業として、文部省および大学を担当。衛星の大学間ネットワーク、
      日本大学のNU-SAT、WIDEプロジェクトなど。
      また、アジアの国際研究コンソーシアムである、AI3プロジェクトに参画。
  1997年9月:ニフティ株式会社 出向
      インターネット広告事業を立上げ。
      日本広告主協会デジタルメディア委員会委員の活動。
      日本広告主協会内、Web広告研究会の立上げ。
      WIDEにて、Web広告配信のWGの活動。
  1999年10月:日商岩井株式会社退社
  1999年11月:インタラクテイブコミュニケーションズ株式会社設立。
      代表取締役社長就任  
  2002年5月〜:ウィッシュネット株式会社 取締役就任。   
                                現在に至る。

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【このMLについて】

news@black-eye.com は、ICI小宮の活動報告、インターネット業界における
TOPICSや気になること。ICIのビジネス紹介、MLメンバーからの質問、議論
の場と考えております。遠慮なく発言してください。自己紹介や、ビジネスの
紹介も歓迎です。

なお、このMLは、過去に名刺交換をさせて頂いた方を中心に、アドレスを設定
させて頂きました。今後参加ご希望の方、アドレスの変更、削除をご希望の方
などはお手数ですが、手続きを致しますので、下記よりご登録下さい。


http://www.interactivecom.co.jp/link/black-eye/touroku.html











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